LIFE薪ストーブのある暮らし

揺らめく炎が照らし、
温める家族の日々と夢

のはぜる音、オーロラのように変幻自在にかたちを変えながら揺らめく炎。その上で湯気を立てる薬缶や鍋。薪火で香ばしく焼き上げられたホクホクの芋やトウキビ、パリパリのピッツァ。

薪ストーブと言えば、一昔前は趣味人の熟年男性が憧れる暮らしのツールでした。ところが近年、新築をきっかけに子育て中の30~40代のご夫婦が、薪ストーブを住まいの暖房の選択肢の一つとして、検討されるケースが増えています。ご主人はお子さんと一緒に休日は薪づくりでいい汗をかき、炎の前でゆっくりと夜を過ごしたい。奥さんは火を入れたストーブで料理を仕込み、家族で会話を楽しみながら味わいたい。ご家族が思い思いに膨らませる暮らしの夢、楽しみの中心に、薪ストーブがあります。

北海道では、薪ストーブは厳しく長い冬を生きるための生活必需品だった時代があります。薪づくりも、冬の備えとして大切な仕事の一つでした。しかし住宅性能と設備が進化した現代、暮らしの中で炎に触れることなく、スイッチ一つで家中が暖かくなるのが当たり前になりました。そんな便利な時代だからこそ、レトロでローテクな薪ストーブは、手間の分だけ愛着もひとしお。家族の時間を温め、より心豊かに変える暮らしの道具として注目を集めています。

末永く仲良く暮らすために
知っておきたい事柄

の中で火をおこし、炎を楽しめる薪ストーブは、日常生活の延長線上で楽しめるたき火。薪づくりや炎の前のくつろぎタイムは、親子の距離をぐっと縮めることでしょう。電気を使わず、シンプルな手法でつくられる薪火の温かさ、明るさは、いざという時のライフラインとしても心強い存在。耐久性にも優れた薪ストーブは、何世代にもわたって愛用でき、共に暮らした歳月がにじみだすように侘びた風情になるのも、ならではの魅力です。

その一方で、住まいとストーブのマッチングを考えずに、デザイン重視で設置すると暑過ぎたり、燃えにくかったりという不具合が起きる可能性もあります。高性能住宅の場合、住まいの広さや換気の仕組みに合う機種、大きさを選ぶことも大切です。

また、薪を用意し、運び入れ、火をつけ、火力を自分で調整しなければいけません。ストーブの購入と同時に、継続的な薪の手配や適正な保管場所を用意できるのかを考えておく必要もあります。このほか、安全に長く使用するためには、設置後も、定期的なメンテナンスも欠かせません。そうした労力を手間と考えず、暮らしの楽しみの一つと考える。これもまた、ストーブライフを実現するための心得です。

時間をかけるほどに楽しく豊かになる、
薪ストーブ計画

まいの構造や広さ、立地と密接な関係をもつ薪ストーブは、家具とは違います。カタログを何度読んでも、分からないこともたくさんあります。まず、薪ストーブを暮らしの中でどのように使いたいのか、焚く頻度や時間帯、どんな住まいに設置したいのか。家族でじっくりと話し合った事柄を一つひとつ、私たちに聞かせてください。その上で、最も心地よく使える機種を選定し、薪の手配、メンテナンス、ランニングコスト見積もりなど、ストーブライフに必要な事柄を総合的に提案させていただきます。

また、設置予定の建物、新築予定地に近接して山や集合住宅がある場合は、煙の臭いや防災上の不安などの苦情につながりやすいので、薪ストーブの設置には不向きです。どうしても薪ストーブのある暮らしを実現したい方は、そうした敷地条件も重要なポイントになります。

新築の場合は、設計プランと同時進行で打ち合わせを進めるのが理想的です。ストーブの設置場所と薪の保管場所、ストレスのない動線の設計を、住まいづくりのプランの中で考えることで、より不満のない導入計画を実現することができます。主暖房で採用する場合は、薪ストーブの設置に慣れた建築家、ビルダーさんを選ぶことをお勧めしています。

薪ストーブは、家と同じように一生を共にする暮らしのパートナー。そのメンテナンスを行う私たちとのお付き合いも一生モノです。だからこそ、半年以上かけて何度も打ち合わせを行い、十分なコミュニケーションを心がけています。